右下に移動するおなかの痛みは虫垂炎を疑え!!憩室炎も鑑別に|大阪の胃カメラ・大腸内視鏡検査|大阪谷町よりおか内科・内視鏡クリニック

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右下に移動するおなかの痛みは虫垂炎を疑え!!憩室炎も鑑別に

右下に移動するおなかの痛みは虫垂炎を疑え!!憩室炎も鑑別に|大阪の胃カメラ・大腸内視鏡検査|大阪谷町よりおか内科・内視鏡クリニック

2025年1月05日

はじめに

 こんにちは、大阪市中央区にある大阪谷町よりおか内科・内視鏡クリニックの依岡伸幸です。
 先日、右下のお腹の痛みで受診された患者様を当院のCT検査にて上行結腸の「憩室炎」と診断し、地域の信頼できる基幹病院に入院の依頼を行い早期に治療ができました。退院後に当院に再診した際に「良くなりました」と言って頂き、開院間もない私はとてもうれしく感じました。
 さて、皆さんも今まで突然お腹が痛くなったりすることは人生で一度は経験するかと思います。一言で「おなかの痛み」といっても、痛みの強さや痛みの続く時間、痛みが強くなったり弱くなったりするのか、痛みが出やすい時間などさまざまかと思います。今回は誰しもが経験する「おなかの痛み」に関する病気として、虫垂炎(ちゅうすいえん)と憩室炎(けいしつえん)に関してお伝えさせて頂きます。

虫垂炎(ちゅうすいえん)とは

 よく「盲腸の手術をした」という言葉を耳にすることがあると思います。その手術を受けた正式な病名は「虫垂炎」といいます。
 虫垂は大腸の一部分である盲腸にくっついている長さ6~8cm程度のミミズのような臓器であり、免疫などの生体防御に大切な器官と言われています。虫垂炎とは、この虫垂という臓器に炎症が起きる病気ですが、糞石(便塊などが硬く固まったもの)などが虫垂の入口に嵌ることで虫垂の内圧が上がります。そして、虫垂に血流障害が起きることで炎症が引き起こされます。子供から大人まで幅広い年齢の方に発症することがあるので注意しなければいけない病気です。

憩室炎(けいしつえん)とは

 憩室(けいしつ)とは、消化管のかべの一部が外側に出っ張り、嚢状(のうじょう・袋状の形のこと)になった状態をいいます。大半の大腸憩室は無症状で臨床上は問題になりません。しかしながら、憩室に糞便が溜まったまま長時間が経つと、内部で細菌が増殖し、憩室に炎症が生じます。これを「憩室炎(けいしつえん)」といい、おなかの痛みや発熱などが出現します。炎症の強さによっては、腸管穿孔(腸に穴が空くこと)を引き起こしたり、膿瘍(のうよう:うみのかたまり)を形成したりすることもあり、非常に注意が必要です。

おなかの痛みの特徴 ~虫垂炎と憩室炎について~

虫垂炎の痛み

 虫垂炎の典型的な痛みは「みぞおちや臍の上あたりが痛かったのに、徐々に痛みが右下腹部に移動する」です。
 虫垂の内圧が上がり炎症が始まるとまず虫垂の内側の粘膜に痛みが生じます。これを「内臓痛」と呼び、痛みの場所がはっきりとしない鈍い痛みのことが多いです。その時にはおなかの痛みはみぞおちや臍の上などお腹の上の方に痛みを自覚します。ほかにも虫垂炎初期の症状は吐き気や食欲の低下などがあります。徐々に炎症が虫垂粘膜の外側まで波及してくると、痛みの部位がおなかの右下に移動してきます。これを「体性痛」と呼び、鈍い痛みから鋭い痛みへ変わります。このように虫垂炎のお腹の痛みは教科書的には場所の移動を伴うことがありますが、全員がこのような症状の経過となるわけではないので、右下のお腹の痛みとして必ず虫垂炎を疑う必要があります。

憩室炎の痛み

 憩室は大腸のさまざまな場所にできます。そのため、炎症を起こした憩室のある部位に一致してお腹の痛みが起こります。下痢などを伴う腸炎では、腸の蠕動や排便などで症状が強くなったり弱くなったりすることがありますが、憩室炎では一度炎症が起これば同じ場所に再現性を持って痛みを自覚します。また、痛みがあるところを押さえると痛みが強くなったり、歩く振動で痛みが強くなる場合には、大腸の周りにまで炎症が広がっている可能性があり注意が必要です。

虫垂炎や憩室炎の診断

血液検査

 血液検査では、白血球やCRPなどの炎症反応に関連した数値を確認します。炎症の程度が数字で客観的に評価することができます。当院では、当日その場で白血球やCRPの測定が可能です。炎症の数値が高ければ重篤な感染症の可能性を考え、より詳細な検査や積極的な治療を提案させて頂きます。

腹部CT検査

 虫垂炎や憩室炎の診断確定には、腹部CT検査が必要です。CTでは炎症を起こしている虫垂や憩室の壁が肥厚したり、その周りの脂肪織が混濁したりといった炎症の所見が見られます。炎症が非常に強く穿孔をきたしている場合は、上記の所見に加えて、本来見られない空気が存在することもあります。膿瘍形成を伴っている場合は、球状の膿の塊がCTで確認されます。このように腹痛の患者様の精査として、お腹のCT検査はとても有用となります。憩室炎や虫垂炎などを疑う場合には、当院では当日にCT検査を行い診断の確定まで可能となります。

まとめ

 簡単ではありましたが、お腹の痛みに関して虫垂炎や憩室炎を中心に説明させていただきました。医療コラムでは、今後も当院で経験した症例から少しでも皆様のお役に立てる情報を引き続き提供させて頂ければと思います。お腹の症状があれば些細なことでも、お気軽に当院にご相談ください。

記事監修

院長 依岡 伸幸

院長 依岡 伸幸

日本内科学会 総合内科専門医
日本消化器病学会 消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会 内視鏡専門医
日本肝臓学会 肝臓専門医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医

2013年大阪市立大学(現 大阪公立大学)卒業。
2015年より年間1万件以上の内視鏡検査数を誇る大阪の市中病院にて内視鏡検査の研鑽を積む。2018年より奈良県立医科大学附属病院にて食道癌や胃癌、大腸癌の内視鏡治療(ESD)を中心に行い、2024年大阪谷町よりおか内科・内視鏡クリニック開設。

詳しい経歴や実績については、こちらをご覧ください。

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