大腸カメラ検査
大腸カメラ検査
下部消化管内視鏡検査とは、一般に「大腸カメラ」と呼ばれている検査のことで、肛門から内視鏡を挿入し、直腸から盲腸までの全大腸(一部小腸)の粘膜を観察する検査です。なにか異常を認めた場合には組織の一部を採取(生検)したり、腫瘍性のポリープを認めた場合にはその場で切除することも可能です。
現在、がんで亡くなられる女性の死亡原因で最も多いのが大腸がんで、男性の場合も死亡原因の第2位となっています。この大腸がんを予防できるのが大腸カメラ検査になります。定期的に大腸カメラ検査を行ってポリープをすべて切除しておくことで、大腸がんの発生率や死亡率を減らせることがわかっています。
大腸カメラで痛みがでる理由は主に内視鏡や空気によって腸が引き伸ばされるからです。大腸の中で「横行結腸」と「S状結腸」という部分はお腹の中に固定されていないため、カメラを挿入する際に無理に押していくと引っ張られることで痛みが生じます。当院では「無送気軸保持短縮法」と「水浸法」を併用し内視鏡を挿入しています。この方法は、極力空気を入れずに腸をしぼませた状態で、腸を畳み込むように挿入していきます。伸びやすいS状結腸も伸ばさないことで、苦痛がほとんどない検査が可能となります。
大腸がんの予防には前がん病変である大腸ポリープの切除が有効ですが、ポリープの発見率は検査者によってばらつきがあります。病変の発見には検査者だけでなく、内視鏡機器も大切となってきます。当院では富士フィルム社の最新(2024年12月現在)の内視鏡システム「ELUXEO 8000システム」を導入しています。このシステムの高出力4LED光源と多彩な画像強調技術を組み合わせることで、病変の視認性が格段に向上しています。
検査中に発見された切除可能な大腸ポリープは、精度の高い診断を行いその場ですぐに切除を行います。病変が極端に大きい場合や、出血リスクが高い病変など入院での治療が望ましいと判断した場合は連携を図っている専門病院へご紹介させて頂きます。
仕事や育児などで忙しく、平日は受診が難しい方でも検査を受けられるよう、土曜日でも大腸カメラを行っています。
同じ日、胃カメラ検査も受けて頂けます。事前の食事制限や麻酔の回数が1回で済むメリットや通院する回数も減るため、患者様の負担を軽減できます。検査の内容や精度には同日でも影響はありませんので、ご安心ください。
大腸カメラは検査そのもの以外に、事前の下剤の内服が大きな負担になります。当院では下剤の内服を患者様のご自宅か院内の選択が可能です。周囲を気にせず慣れたご自宅のトイレにて下剤を内服したい方はご自宅を、遠方から来院の方で移動に不安がある方は院内を選択頂けます。院内の場合には個室と専用のトイレを用意しております。(個室は数に限りがございますので、事前に空き状況をご確認ください)
鎮静剤を用いた内視鏡検査の大きな目的は「不安」や「苦痛」の軽減です。鎮静の程度を調整することも可能で、検査に対して不安や恐怖心が強い方は「ぐっすりと眠った状態」に、検査画面を一緒に見たいという方は「苦痛を取り除く程度の状態」に、というように患者様の状態やご希望に合わせて検査を行うことができます。
大腸の観察時には腸を膨らませて観察を行いますが、当院では空気ではなく二酸化炭素を使用しています。二酸化炭素は通常の大気と比較して腸管内で速やかに吸収されて、吐く息からすぐに排出されるため、検査中や検査後のお腹の張りや痛みを抑えることができます。
検査後はストレッチャーで横になって頂いたまま、リカバリースペースに移動します。鎮静剤の効果が切れるまで、ゆっくりお休み頂けます。
画像強調内視鏡とは通常の白い光から光の波長を変換し、大腸粘膜の表面の模様や血管、色調を強調し観察する方法です。内視鏡手元のボタンで変換し観察するため、患者様への負担はありません。LCI(Linked Color Imaging)モードでは、白色光よりも大腸ポリープの発見率が高いと報告があります。また、BLI(Blue LASER Imaging)画像ではポリープ表面の血管や構造を詳細に観察し腫瘍性かどうかの診断が可能となります。
検査予約
事前に下剤のお渡しが必要になります。まずはWEB予約かお電話にて「大腸カメラ 検査前診察」のご予約をお取りください。
外来を受診して頂き検査の説明を行い、内視鏡検査を予約させて頂きます。
検査前の診察には日頃内服されている薬がわかるもの(お薬手帳など)を持参してください。
検査前日
検査前日は終日、消化の良いものを食べてください。夕食は21時までに済ませ、それ以降は何も食べないでください。水、お茶は夜間も摂取可能です。より良い検査のために、検査前日に食べれる検査食もご購入頂けます。
夜21時に事前にお渡しした錠剤の下剤をお飲みください。
検査当日
何も食べないでください。水やお茶は摂取可能です。
常用されているお薬は検査予約時の指示通りに服用してください。
【自宅で下剤を服用する場合】
事前の指示通りに下剤の服用を開始してください。排便がきれいになったのちに、予約時間の30分前に来院してください。
【院内で下剤を服用する場合】
朝の指定時間に来院して頂き、下剤の服用を開始します。
検査
検査着に着替え、点滴を行いストレッチャーに横になって頂きます。希望により鎮静剤を注射し、リラックスした状態で検査を受けて頂きます。
検査は10~30分程度で終わります。病変が発見された場合には、組織の採取やポリープの切除を行います。
検査後
検査終了後はリカバリールームで休憩頂き、その後、医師より検査結果についての説明があります。
生検やポリープ切除を行った場合は、結果が判明するまで10日ほどかかります。後日、改めて病理結果をお伝えします。
鎮静剤を使用した場合、車やバイク、自転車の運転はできませんのでご注意ください。
保険診療の場合、日本全国どの医療機関で検査を行っても、検査費用は基本的に一律です。
検査の内容 | 1割負担 | 3割負担 |
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大腸内視鏡検査(観察のみ) | 2500円前後 | 7500円前後 |
大腸内視鏡検査+生検※ | 3000~5000円前後 | 10000~22000円前後 |
大腸内視鏡検査+ポリープ切除 | 7000~12000円前後 | 20000~36000円前後 |
大腸カメラ検査は鎮静剤を使用した方が楽に受けられますが、希望があれば使用しなくても検査は可能です。鎮静剤の副作用(アレルギーや呼吸循環抑制など)が心配であったり、検査後に予定があってなるべく鎮静剤を使用せず検査を行いたいなどの希望がある場合には、検査中に苦痛があれば検査途中より鎮静剤を使用するなど相談の上、柔軟に対応させて頂きます。
症状があり医師が大腸カメラを行うことが必要と判断した場合や、医師から大腸カメラの経過観察を指示されている場合、健診で便潜血陽性を指摘された場合などは保険適用となります。一方、人間ドックや定期的な健康診断を目的として本人の希望で行う検査は保険適用外(自費診療)となります。
検査の際には、当院で用意した検査着に着替えて頂きます。特に着替えは必要ありません。
生理中でも鎮静剤を使った大腸カメラ検査は問題なく受けて頂けます。タンポンをつけて検査を受けることをお勧めします。ただし、重い生理痛などで体調が優れない場合は検査を延期することも可能です、遠慮なくご相談ください。
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